事例紹介
Case Study実践型研修「アクションラーニング」の失敗例と実効的にするためのポイント
課題/ニーズ
せっかく企画したアクションラーニングについて実施すること自体が目的化され、形骸化している側面があるがどうすればよいか。
アクションラーニングとは、個人やグループで企業が抱える現実の課題をテーマとして、数ヶ月間にわたり、その解決策を立案・実施していくプロセスを通じて、実践的なスキル・マインドを身につけていく研修になります。
主に企業では、次世代経営層や管理職の戦略立案力の向上やリーダーシップ開発などで用いられることが多く、最終日では経営層にプレゼンテーションを用いることでEQ(情緒能力)の開発も可能にしています。
このアクションラーニングは決して真新しい研修手法ではなく、多くの企業で取り込まれていますが、なかにはアクションラーニングをすること自体が目的化され、形骸化している側面があると相談をいただくこともあります。
では、何が成否を分けるのでしょう?
最初に重要なことは「何をするのか」のアウトプットではなく、このプログラムを通じてどんな変化を生み出していきたいのか、もっと言えばその変化が生じた先に企業としてどんなインパクトを与えたいのかといった「アウトカム」を明確にすることです。
ここは、事務局だけでなく、研修オーナーを巻き込んで、その目的を明確にするとともに、そのために各プログラムにおいて何を重視するのかをデザインしていくことが求められます。
特に、今はVUCAと例えられるほど激変の社会のなかでビジネスは従来にないスピード感で価値創造が求められ、アクションラーニングにおいても何を成果とするのか曖昧なままにしてしまうと、前述の形骸化したプログラムに結びつきます。
インソースデジタルアカデミーで様々な企業のアクションラーニングを提供している中で、最初に必ず確認することが、企業運営に実際に活かせる「実現性」を重視するのか、それとも思考の枠を超えて従来にはない視点・発想を身につける「革新性」を重視するのかという点です。
どちらを重視するかによって、実効的な研修プログラムは大きく変わっていきます。
また、もう一つ重要な要素が、社内の関係者をいかにアクションラーニングに巻き込んでいくかということです。
例えば事業戦略プランニングをアクションラーニングで実施する場合、受講者の知識や情報量にはばらつきがあり、よりよい戦略を経営層にプレゼンテーションするには、社内外の様々なリソースと繋がることが極めて重要となります。
経営層を巻き込んで中間発表の機会を設けて、中間フィードバックでよりブラッシュアップしたり、選択したテーマに関わる幹部をメンターとして伴走支援してもらうなど、研修事務局、研修オーナー、社内関係者、そして講師を担当するコンサルタントと一体になって、アウトカム実現に向けた全体プロセスを設計することが成否に大きく結びつきます。
アウトカムを明確にし、それを実現するためのプロセスをデザインし、そのうえで各プログラムを設計することが、企業の未来の可能性を切り拓く重要な要素となります。