2025.03.10
2025.03.13
宇宙の扉を開く~最終話「かぐや、月へ還る」
- 文字で構成されています。
※この記事内容は

宇宙開発には大きな夢があると同時に多くの困難が伴います。宇宙関係の業務に長く携わったベテランエンジニアが、みずから体験したさまざまなエピソードをお届けします。
多くの成果、そして
「かぐや」は約1年半にわたり、月表面の元素・鉱物組成、地形、表面付近の地下構造、磁気異常、重力場、更には月周辺空間のプラズマ、電磁場、高エネルギー粒子等の環境・計測を行い、大きな成果を上げました。
これは、搭載観測機器が全て正常に作動しただけでなく、打ち上げ後の軌道変更が全て1回で成功した結果、予想以上に燃料が残り、長期の観測を可能にしたためです。
それでも燃料の尽きる日がやってきます。
「かぐや」の最後をどうするか議論がなされ、当初計画していた月着陸の一歩手前まで降下させたうえで、最後は月面に誘導落下させることになりました。
その際、月面の影の部分に落下させ、最後の一瞬の閃光が地球から見える可能性があるように、衝突位置と閃光に必要な残燃料を計算したそうです。
月周回衛星「かぐや」の制御落下軌道中に地形カメラが観測したラストショット ©JAXA/SELENE=YouTube公式チャンネル「JAXA Channel」より引用
「かぐや」は高度100キロの周回軌道から徐々に高度を下げ、2009年6月11日、指定時刻に指定場所に誘導落下させました。
私は、JAXAのホームページで「かぐや」が最後に撮影した映像を見て、感激すると同時に可愛い我が子を失ったような、何とも言えない気分になった事を覚えています。
これで「かぐや」のお話を終わります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
現在も、世界各国で月面基地建設に向けて研究開発が行われています。
今後も、民間企業も含めた宇宙開発の重要性はますます高まっていくことでしょう。
※本記事は2025年03月13日現在の情報です。
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