2023.07.10ページが新しくなりました!
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【コラム】ITエンジニアが教える「PC操作を劇的に早めるコツ」~番外編:キー入力速度に革命を起こす「Emacs バインド」のススメ
こんにちは。株式会社インソースデジタルアカデミーの川崎でございます。
このコラム「ITエンジニアが教える」シリーズでは通常、ITエンジニアではない一般部門の方向けに、インソースグループでもっともPC操作が早いと自負する私が、どのように操作しているかご紹介しております。
今回は番外編として、ITエンジニア向けに、キー入力速度に革命を起こす「Emacs(イーマックス)バインド」についてご紹介いたします。
私も10年以上ITエンジニアとして働いてきましたが、このテクニックを学生時代に身につけたからこそ、「インソースグループでもっともPC操作が早い」と自信を持って言えるテクニックですので、ぜひご覧ください。
(1)Emacs とは統合開発環境の「はしり」~1番の特長はキーバインド
ご存じの方も多いとは思いますが、Emacs(イーマックス)とはUNIX系OSで使うことができるテキストエディタの1つです。C言語やシェルスクリプト、JavaやHTMLなど、開発しようとしている言語に合わせて最適化した「モード」に切り替えて、開発作業を支援する機能があるため、統合開発環境(IDE)と呼ばれることもあります。
入れ子の深さに応じてインデントを自動的に調節できる「自動インデント」、キーワードや文字列リテラルなどを強調する「コードハイライト」、コンパイルやコードチェックなど外部コマンドを実行する機能など、現在では他の開発環境でも標準的に備わっている機能を、早くから取り入れています。
中でも1番の特長は、「キーバインド」です。「キーバインド」とは平たくいえば「ショートカットキー」のこと。手元を見ずにキー入力ができる「タッチタイピング」ができる人には特にオススメです。以下のように、「ホームポジションを崩さない」ための工夫がなされています。
- BackSpace が「Ctrl+h」
- 方向キーの、右「Ctrl+f」、左「Ctrl+b」、上「Ctrl+p」、下「Ctrl+n」で実行できる
※f: forward(前方)、b: backward(後方)、p: previous line(前の行)、n: next line(次の行)というように、英単語の意味に直結しています - Page Up が「Alt+v」、Page Down が「Ctrl+v」
私は上記の操作を、脊椎反射的に入力できるようになっていますので、文字入力・文書作成が桁違いに早いのはご想像いただけるかと思います。(動画でご覧いただけなくて申し訳ありません)
なお、Emacs バインドは1970年代に登場したと言われており、およそ50年の歴史があります。はやり廃りが激しいITの世界において、50年近く生き残っているというのは、キーバインドなど、それだけ欠かすことのできない特長を多く持っているからだと考えることができます。
(2)Emacs バインドだからこそ使うキー入力も多い
Emacs バインドなしではキー入力に時間がかかるため、便利でもなかなか使わないキーは意外とあります。
Emacs バインドが使えれば、便利な操作をすぐにキー入力だけで実現できるので、さらに文書作成を効率化できます。
- カーソルを行頭に移動する「Ctrl+a」、行末に移動する「Ctrl+e」
Emacs バインドなしでは「Home」「End」を入力しないといけないためほとんど使いませんが、Emacs バインドであれば非常に多用することになります
- カーソルの次にある文字を削除する「Ctrl+d」
Emacs バインドなしでは「Delete」を入力しないと行けないため、なかなか使う局面が限られます。Emacs バインドであれば、カーソルを1つ戻して1文字消す2つの操作が、1つの操作で実現できます
- カーソルのある位置から行末までを切り取る「Ctrl+k」
Emacs バインドなしでは、Shiftを押しながら行末までをマウスクリックして、BackSpaceやDeleteで削除することになります
- 文字列選択は「Ctrl+Space」で開始位置を指定し、カーソルの移動先まで
Emacs バインドなしでは、Shiftを押しながら方向キーで移動する操作に当たります。コピーやペーストをするときには結局、手をキーボードのホームポジションに戻すことになるので、文字列選択もホームポジションに置いたまま実現できるのは大きな意義があります
- 入力を取り消す「Ctrl+g」
Emacs バインドなしでは、ESCを押すことになります。使えるシーンは意外と多いですが、特に役立つのは、日本語入力の際のローマ字入力ミス・変換ミスで、変換処理中はすべて「Ctrl+g」で1つ前の状態に戻せます。タッチタイピングができていれば、中途半端に入力中の文字を残すよりは、1から入力し直した方が早いこともままあります
これらを組み合わせることで、複数行の文字列を選択してコピー・貼り付けするときにも効果を発揮します。
(3)Emacs バインドの利用シーンは意外と広い
「Emacs バインド」という名前だけあって、使えるシーンは限られるのではないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。次のように、Emacs バインドの利用シーンは意外と多くあります。
ア.多くの開発環境でも使える
「Emacs バインド」にはコアなファンが多いです。Eclipse、NetBeans IDE、Atom、Visual Studio Code、Sublime Textなど、多くの開発環境・テキストエディタで Emacs バインドを設定変更やプラグイン追加だけ使うことができます。
イ.OS も選ばない
Mac OS では設定変更だけで Emacs バインドを使うことができます。
Windows でも、一部ソフトウェアをインストールすることで、ウェブブラウザや「メモ帳」、Word/Excel/PowerPoint も Emacs バインドにすることができます。ソフトウェアのインストールが必要なので、組織の規則に照らして、許可されているかどうかをご確認いただければと思います。
Emacsバインドを実現するソフトウェアの中には、ファイルの種類やアプリケーションの種類などに応じた「モード」を切り替えたキーバインドを設定できるものもあります。製品名など詳しく知りたいという方は、お問合せください。
(4)どうやって身につけるか
Emacsは Windows 環境でもインストールすることができますので、まずはテキストファイルの編集で、基本となるキーバインドを練習するのがオススメです。そのうえで、Emacs バインドにするソフトウェアをインストール(もしくは設定変更)すれば、効率よく Emacs バインドを習得することができます。
なお、Emacs バインドでは「Ctrl」キーを多用することになります。「a」の左側を「Ctrl」にして利用することが多いですが、キーボードの機種によっては「a」の左側が左手小指では押しにくいこともあるので、押しやすいキーボードを選ぶことだけ注意していただければよいと思います。
いかがでしたでしょうか。
タイピング練習ソフトなどで文字入力を高速化することもできますが、やはり文章を作成するときには、誤入力やカーソル移動は当たり前です。こうした操作を高速化するための練習にもぜひ取り組んでみてください。
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