2023.07.10ページが新しくなりました!
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【コラム】データサイエンティストの心得その6 「お酒と健康の最新データ事情~データサイエンスは進化する」
本コラムは、データサイエンティスト・神山が「心得シリーズ」として
データ活用の面白さと難しさを語ります。
データサイエンティストのこぼれ話としてお楽しみいただければ幸いです。
皆さんはお酒が好きですか?
緊急事態宣言の解除に伴い様々な制限が緩和された今、お酒を楽しんでいる方も
増えてきていることでしょう。今回のコラムではお酒と健康にまつわる最新のデータを
ご紹介します!
ア.かつてお酒が身体に良いとされていた科学的根拠
「お酒の飲みすぎは身体に悪いが、適量の飲酒は身体に良い」という話を聞いたこと
はありますか?私が大学で研究していた10年ほど前は、医学界でも少量の飲酒は
心血管疾患のリスクを下げるため身体に良い(※1)とされていました。
(※1)James H. O'Keefe MD, et al. Alcohol and Cardiovascular Health: The Razor-Sharp Double-Edged Sword. Journal of the
American College of Cardiology,50(11),1009-1014,2007.
また、喫煙率が高く、飲酒量も多いことから一見すると不健康な生活が行われがち
なフランスでは、心臓病になる人が少ないことから、お酒(赤ワイン)は健康に良い
(※2)とされていたのです。この逆説的な現象は「フレンチパラドックス」と呼ばれてい
ます。
(※2)S Renaud, M de Lorgeril. Wine, alcohol, platelets, and the French paradox for coronary heart disease. Lancet,339(8808),1523-1526,1992.
このように、過去の医学研究では適量のお酒ならば身体に良いとされ、私たち一般
人にも広まり、お酒は適度に楽しむのであれば健康にも良いとされてきた歴史があ
るのです。
イ.健康を害さずにお酒を楽しむためには
適量のお酒は健康に良いとは言っても、国によって飲酒のガイドラインは大きく異な
ります。1日のアルコール摂取量のガイドラインは、例えば日本が20g、アメリカでは
男性が28gで女性は14g、イギリスは16gです。
このようなガイドラインの違いから、健康リスクが最も低い飲酒量を定義するため、19
か国599,912人を対象として大規模なデータ分析が行われました。その結果、脳梗
塞など一部の病気は少量の飲酒によって健康リスクが下がるが、他の多くの病気で
は少量の飲酒であっても健康リスクがあるという結果でした。この研究では、飲酒と
様々な健康リスクの関連性の大規模なデータから飲酒をしないのが健康的、飲酒を
する場合は週にアルコール100g(1日約14~15g)までが適切と結論づけられていま
す(※3)。
(※3)Angela M Wood, Stephen Kaptoge, et al. Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant
data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies.Lancet 391 : 1513-1523, 2018.
※各お酒の1週間にアルコール100gの目安
ビール350ml缶(アルコール分5%)・・・1週間に5~6缶まで
日本酒1合(アルコール分15%)・・・1週間に3~4合まで
ワイン125mlグラス1杯(アルコール分12%)・・・1週間に6~7杯まで
※飲酒量と健康リスクの関係
出所:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「飲酒とJカーブ」 図1
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-001.html
ウ.データサイエンスに大切なこと
お酒と健康の最新データ事情を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
過去のデータ分析で明らかにされたことでも、見方を変えて改めて分析してみると
新しい結果が得られるというのはデータサイエンスの世界ではよくあることです。
どのようなデータ分析にも必ず限界があります。これまでのデータサイエンティストの
心得シリーズで紹介してきたように、人間にはバイアスがあるためデータの解釈も
100%正確に行うのは難しいのです。
私たちデータサイエンティストはデータ分析には限界があることを理解した上で、より
良い分析を模索します。お酒が健康に良いとされていた時代から、少量のお酒でも
飲まないに越したことはない(飲む場合は週にアルコール100gまで)と変わったよう
に、データは更新されるものです。もちろん、現在の科学的結論もこれからの更なる
分析で変わる可能性もありますし、より発展していくことでしょう。
目の前の分析結果も重要ですが、データをより良く活用するためには常に新しい可
能性はないのかを模索することも大事だと私は考えています。現状を改善するため
に前進し続ける姿勢を忘れないようにしたいですね。
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