2024.02.20
2024.04.10
画像生成AIは実務で使えるのか~デザイナーがAIの実力を検証!
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
画像生成AIとは
画像生成AIとは、利用者の入力内容を元にAIが画像を作成するサービスの総称です。
主に利用者がイメージする完成形を言語化して入力を行いますが、中には参考画像を提供することで似せたものを生成できるサービスもあります。
右のイラストは筆者(デザイナー)が思う「画像生成AI」に対するイメージを元に、「草原でイーゼルに向かい絵を描くロボット」というテキスト(プロンプト)から、Adobeの画像生成AI「Adobe Firefly」で生成しました。
このように画像生成AIを活用すれば、専門技術がなくとも精度の高い画像を作成することが可能です。
しかし、一見するとテキストから作成したとは思えない完成度ですが、このイラストになんとなく違和感を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
生成系AIは実務で使えるのか
生成したイラストを細かく見ていきましょう。
手前のイーゼル(絵を描くときにカンバスを固定する台)に注目してください。
このイラストではカンバスが構造的に不安定で、ロボットとの位置も不自然になっています。
他の動物と比べて視覚情報に頼って生活している人間の目は、正しい構造を思い出せずともちょっとした違和感を見抜くことに長けているのです。
また、その違和感のアンテナは見慣れているものほど強く働きます。
特に人間は表情を読み取ることで相手とのコミュニケーションを図る傾向があり、目・鼻・口の変化やバランスには敏感です。
その点、イラスト調で人物を生成した場合にはそもそもの比較対象が少なく、見た人の「こうあるはずである」という思い込みがありません。
そのため、多少曖昧な表現になったとしても大きな違和感を感じることなく受け入れると考えられます。
筆者の所感ではありますが、現在のところ画像生成AIを実務で使う場合は写実的なものより、イラスト調の方が使いやすそうです。
■同じプロンプト「社内研修を受け、新しい技術を習得している会社員」から生成した例
もし筆者が業務で使うなら、上の二つの例のうち右のイラストを採用します。
左の男性は表情がどことなく不自然で、視線も定まっていないようにみえます。
これをプロンプトによって修正していくとなると手間も時間もかかります。
効率も考慮しなければ実務には使えないからです。
画像生成AIに潜む著作権侵害のリスク
適切なプロンプトを与えることで、誰でも手軽に画像生成が可能な生成系AIですが、AIが作った画像は誰のものか、つまり著作権の問題があります。
著作権法を管理する文化庁では、これまで生成系AIに関する様々な議論が行われてきました。
2023年6月には「AIと著作権」と題したセミナーが開催され、著作権法の考え方やAIと著作権の関係性について公表しています。
同セミナー内では、生成系AIと著作権の関係性は「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けて考える必要があると述べています。
文化庁「AIと著作権」
AI開発・学習段階
- 著作物を収集、複製し学習用データセットを作成
- 学習用データセットを利用し、学習済みモデル(AI)を開発
「AI開発・学習段階」は著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用と考えられ、著作権者の経済的利益を通常害するものではないとし、著作権者の許諾を不要としています。
つまり、このケースではAIに学習をさせるために事前許可を取る必要はありません。
生成・利用段階
- AIを利用し画像などを生成
- 生成物をアップロードし公表、複製し販売(イラスト集など)
一方で開発したAIモデルを使った「生成・利用段階」になると、通常の著作権侵害と同様の法が適当されます。
AIの生成物に既存の著作物との類似性と依拠性(既存の著作物を基に創作したこと)の両方が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求や差止請求が可能であり、刑事罰の対象にもなるとしています。
個人で楽しむ範囲では問題ありませんが、利用方法によっては著作権を侵害する恐れがあるので注意が必要です。
最後に
ここまで画像生成AIを実務で活用するためのポイントをご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
新しいテクノロジーを活用する際は、技術を学ぶことと同様にチェック体制の強化、コンプライアンスの徹底も重要になります。
正しい知識とテクニックを身につけ、生成系AIを使った業務効率化を目指しましょう。
※本記事は2024年04月10日現在の情報です。
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