2024.10.21
2024.11.20
生成系AIはここまできた!ImageFXとは?
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
*がついている用語は、マウスオンすると解説文章が表示されます。
ImageFXとは?
Googleが提供する最先端の画像生成系AI「ImageFX」は、テキストからハイクオリティな画像を生成できるツールです。例えば、「雪山の風景」や「未来都市の夜景」など、簡単なプロンプトAIなどに対して、質問や指示をするための文章を入力するだけで、高速で画像を出力してくれます。 景色はもちろん、このImageFXは、「自然な人物を生成できる」のが大きな特徴です。
Imagen3の技術を活用
ではこのImageFXは、なぜ精度の高い画像を生成できるのでしょうか。
それは、最新のAIモデルデータを学習して特定のタスクを実行するためのプログラムやシステム「Imagen3」の技術が使われているからです。
Imagen3とは、テキストから高品質な画像を生成できるモデルとして機能し、従来のAIモデルと比較してより正確で視覚的に優れた画像を生成することができます。「拡散モデル」という、AIや機械学習において注目されている生成技術を採用しており、画像などのデータにノイズを加え、徐々にノイズを除去していくプロセスを通じて新しい画像を生成します。たとえば、ランダムなノイズから画像を少しずつ再構成するイメージです。ノイズを除去する過程で高品質な画像を生成できるとされており、他の生成手法よりも視覚的に精度が高い結果を得ることができます。
実際にImageFXを使ってみよう
ImageFXの魅力は、その使い方が非常にシンプルなことです。Googleのアカウントを作成する必要がありますが、ログインしてしまえば、あとはテキストで出力したい画像の内容を入力するだけです。その後、AIが自動で画像を生成し、必要に応じて微調整を行うことができます。
今のところ日本語版はリリースされていませんが、英語表示でも操作が直感的で分かりやすく、ブラウザの翻訳機能を使うと日本語表示になるので、かなり快適に使うことができます。複雑な編集ソフトの知識は不要で、誰でも簡単に高品質な画像を作成できます。
それでは実際にImageFXを使ってみましょう。
- 以下のページにアクセスします。
https://aitestkitchen.withgoogle.com/tools/image-fx - ご自身のGoogleアカウントでログインします。
- 初回は規約への同意が求められるので、読んだ上で同意ボタンを押します。
- これで準備は完了です。
すると、早速こういった画面が出てきました。
左側の赤枠がプロンプト入力欄で、右側に出力された画像が表示されます。あとはこの画面で、プロンプトを修正、出力を繰り返していくだけです。
ためしに、「日本の紅葉を観光する女性」と打ち込んで右下の「作成」というボタンを押してみましょう。
ここで、もし画面下部に「We couldn't create what you asked for. Try a different prompt or click the info icon for more information.」という文言が出てきたら、うまくプロンプトを読み込めていない可能性があるので、英語で入力してみましょう。
英語で入力したプロンプトの方がスムーズかつ正確に理解する傾向があります。生成系AIが学習する膨大なデータセットには日本語より英語の情報が圧倒的に多いこと、英語の方が日本語より文法がシンプルなことなどがその理由としてあげられます。
翻訳サイトで翻訳した英語のプロンプトを入力すると、この短いプロンプトだけでこのクオリティの画像が生成されました。
女性の服装や表情については指示していませんが、「紅葉」というワードから、着物を着ていたり、スマホで写真を撮っているようなアクションが勝手に追加されて自然な仕上がりになっています。
※出力画像の表示方法は赤枠のボタンを押せば切り替えられます
生成された画像にカーソルを合わせ、右下のダウンロードボタンを押せば、自動的にダウンロードされます。もし、いずれかの画像にさらに手を加えたい場合は、「Edit image」というボタンを押し、修正したい箇所をなぞり、プロンプトを書きこめば更に修正を加えることができます。
さらに、このImageFXのもうひとつ便利な機能として、エクスプレッシブチップスというものがあります。入力したプロンプトのうち、いくつかの単語に色がつき右に「▼」が出現しています。この▼を押すと、いくつか別のプロンプトの候補が自動的に出てきます。 たとえば、表示されている候補のうち「winter snow」を選択して再出力してみましょう。
すると、構図などは大きくは変わらずに、ガラッと冬景色になった写真に変わりました。
このエクスプレッシブチップスを変更するだけでも、多様な画像を生成できるので非常に面白いですね。ただし、1日の生成画像数は50~100程度までと言われているので、本当に必要な場合はしっかりプロンプトを吟味する必要がありそうです。
本物の画像に寄せられるのか
上の画像は素材サイトで見つけてきたものです。この画像は、あなたが頭の中でイメージしているものだとしましょう。これをImageFXでどの程度似ているものを作れるか、一緒に見ていきましょう。
以下の手順に沿ってプロンプトを入力していくと、精度の高い画像に近づいていくのを体感いただけます。
まず、この画像から、ざっくりと以下のことが読み取れると思います。
- 赤い車
- 電話をしている女性
- 道路
- 背景の緑
これをいかに詳しく生成系AIに読み込ませていくかが、プロンプト改善の面白い部分です。たとえば、これを文章にしてみましょう。
プロンプト
道路に停車させた赤い車の前で、20代くらいの日本人女性が電話をしている。少し困っている様子。道路脇には木々が生えている。
A Japanese woman in her 20s is on the phone in front of a red car parked on the road. She looks a little troubled. Trees are growing on the side of the road.
画像内の要素としては同じようなものが生成されました。 ここから更に女性の特徴や配置を指示していきます。
プロンプト
道路の左脇に停車させた赤い車の前で、20代くらいの日本人女性が電話をしている。薄ピンクの半そでブラウスに、白のパンツ。髪型はやや茶色でショートヘア。少し困っている様子。道路脇には木々が生えている。
A Japanese woman in her 20s is on the phone in front of a red car parked on the left side of the road. She is wearing a light pink half-sleeved blouse and white pants. Her hair is slightly brown and short. She looks a little troubled. Trees are growing on the side of the road.
かなり近づいてきました。しかし、写真において構図はかなり大切です。
イメージ通りと呼ぶにはまだ少し改善が必要そうです。
プロンプト
道路の左脇に停車させた赤いSUVのような日本車。右のサイドミラーの前で、20代くらいの日本人女性が右手にスマホを持って立ったまま電話している。左手は右手に添えている。少しだけ悲しそうな顔をしている。薄ピンクの半そでブラウスに、白のパンツ。髪型はやや茶色でショートヘア。道路脇には木々が生えている。
A red SUV-like Japanese car parked on the left side of the road. In front of the right side mirror, a Japanese woman in her 20s is standing on the phone with her phone in her right hand. Her left hand is along her right hand. She looks a little sad. She is wearing a light pink half-sleeved blouse and white pants. Her hair is slightly brown and short. Trees are growing on the side of the road.
細かい点は違いますが、おおむね同じような画像が出来上がりました。
プロンプト
道路の左脇に停車させた赤いSUVのような日本車。右のサイドミラーの前で、20代くらいの日本人女性が右手にスマホを持って立ったまま電話している。左手は右手に沿えている。少しだけ悲しそうな顔をしている。薄ピンクの半そでブラウスに、白のパンツ。髪型はやや茶色でショートヘア。道路脇には木々が生えている。
上記のプロンプトでは、車の見た目、車の状態、車に対する人の位置、人の動作、表情、服装、情景、これらを要素として取り入れました。
さらにこれらを、入力欄にある候補ワードを追加して再度出力すると、イラストチックになったり、トーンを変えた画像を生成したり、テクスチャもワンクリックで変更することができます。
このように、さまざまなシチュエーションで使用可能な画像を生成できます。広告やSNS投稿、ウェブサイトのビジュアル作成など、幅広い用途で利用できるため、クリエイティブな作業に大きな力を発揮します。
利用における注意点、フェイク画像になりうる危険性
生成系AIを使った画像生成の注意点として、クオリティの高い画像を生成できるからこそ、場合によっては実際に撮影された写真ではないことをユーザーにしっかり伝える必要があります。SNSなどで生成系AIが作った画像、いわゆるフェイク画像というものが出回り拡散し、人々を混乱させてしまうといったケースは今後増えていく可能性があります。 その生成物を人間の目できちんと確かめ、思わぬ著作権侵害や商標権の侵害とならないよう注意が必要です。
例えば、以下はImageFXで生成した画像です。
この画像は、ImageFXで作成したものです。
青い車の部分に注目してみると、フロントにぼんやり見えるエンブレムの色や形、特徴的なヘッドライト、車体の形状から、人によっては特定の自動車メーカー、特定の車種がイメージできてしまう可能性があります。
生成系AIの性質上、インターネット上にある膨大なデータセットから学習をしているので、どうしても既存の商品やサービス、物体との類似性が出てしまう場合があります。 使用の際には十分な注意が必要です。
また、利用について、現在のところ特段商用利用についてのガイドラインなどは存在していないようです。しかし、同様にGoogleが提供する画像生成系AIの「Gemini」が商用利用OKなことを考えると、今後このImageFXも正式に商用利用可能となる可能性は大いにあるでしょう。
まとめ
「ImageFX」は、簡単なテキスト入力で高品質な画像を生成できる、非常に便利なツールです。
特に「Imagen 3」の技術を活用し、細かいディテールまで再現できる点が特徴で、プロンプトを工夫することで、まるで実物のような画像を作り出すことが可能です。
さらに、手軽に操作できるインターフェースコンピュータや機械と人間がやり取りするための接点のこと。たとえば、スマホの画面やボタンなどのことを指す。やエクスプレッシブチップス機能を使えば、より多彩な画像を簡単に生成できるため、ビジネスやクリエイティブな場面で活躍が期待できます。
ただし、生成された画像はきちんと人間の目で確かめ、生成系AIによって作られた画像であることを明記するなど、その画像を目にするユーザーへの配慮も大切です。 適切に使って、その品質の高さを是非実感してみてください。
最後に、このimageFXも、画像生成だけでなく音楽や動画も生成することが可能です。今後、様々な媒体で生成系AIによって作成されたものが増えていくことが予想されます。革命的な技術進歩の恩恵を受けるとともに、目や耳に触れるものが"限りなくホンモノに近い何か"である可能性も十分に理解しておく必要があるでしょう。
ちなみに、本記事は生成系AIが書いたものではありません。
※本記事は2024年11月20日現在の情報です。
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