2024.07.11
2024.11.20
宇宙が未来を切り拓く!?SXによる価値創造①~SXとは?
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
*がついている用語は、マウスオンすると解説文章が表示されます。
SXとは
皆さんは「SX」 という言葉をご存じでしょうか?
SXとは、Space Transformation(スペース・トランスフォーメーション)の略で、「宇宙空間における活動を通じてもたらされる経済・社会の変革※ 」のことです。「宇宙空間を活用することで、組織がビジネスモデルを変革して競争力を高めること」とも言い換えられます。
※出典:内閣府ホームページ「宇宙基本計画(案)」
(https://www8.cao.go.jp/space/comittee/dai105/siryou2.pdf)
※DXと同様、Transformationを「X」と略しています
宇宙というとロケットや人工衛星を連想しがちですが、実際はICT情報通信技術、Information and Communications Technologyの略が中心技術のひとつになっています。そして、そこには民間ビジネスに活用できる多くのヒントが隠れているのです。
本記事では、SXとはどのような取り組みか、2つのビジネス事例を交えてご紹介します。
SX事例1:漏水箇所の特定(水道管整備の効率アップ)
日常生活に欠かせない水資源。その安定供給を支える水道管のメンテナンス、特に漏水箇所の修理は、水道局にとって重要な課題です。
従来は、作業員が夜間に地上を歩いて、地中の音を確認しながら漏水箇所を特定するという、非常に手間と時間がかかる方法がとられていました。しかし、宇宙から地球にアプローチすることで、大きな変革がもたらされます。
ある民間のベンチャー企業は、人工衛星ロケットを使って宇宙空間に打ち上げられ、地球のまわりを回っている人工物のことが測定した地表の温度データなどをAIで解析することで、漏水箇所だけでなく漏水リスクのある箇所まで特定できるようにしました。そして、それらの解析情報を水道局に提供することで、メンテナンス作業の大幅な効率化を実現させたのです。2024年3月に登場したこの画期的なサービスは、東京都水道局をはじめ複数の自治体に続々と導入されています。
SX事例2:最適な漁場の提案(漁獲量の予測精度アップ)
近年、地球温暖化が進行する中で、水温の変化に伴い魚介類の分布域も大きく変化しています。特にサンマはその顕著な例と言えるでしょう。従来の漁場では漁獲量が減少しているため、魚が集まる新たな漁場を探さなければならない事態になっています。
そこで、ある民間のベンチャー企業(事例1とは別の企業)は、人工衛星から得られる水温や潮流、気象情報などのリアルタイムデータを活用しました。これらのデータをもとに、広範囲の海域における状況を可視化し、AI解析によって魚介類の移動先(最適な漁場)を特定しやすくしました。漁業者はこのサービスを使用することで、漁業の効率化と漁獲量の予測精度を向上させることができるのです。
宇宙による新たな価値創造に向けて
ご紹介した2つのビジネス事例では、いずれも「宇宙から地球を観測(リモートセンシング)し、この大量のデータを大容量通信で地球に送り、AIを用いて解析する」という点が共通しています。地球から宇宙を観測するのではなく、宇宙から地球を観測することで、新たなビジネスにつながっているのです。
かつては専門家の領域と思われていた宇宙の活用が、身近なものへとなりつつあります。
宇宙は、地球上のさまざまな課題を解決する新たな挑戦の舞台となる可能性を秘めています。
SXは今後、DX(Digital Transformation)に続いて経済・社会に大きなイノベーションをもたらす注目トピックになっていくのではないでしょうか。
インソースデジタルアカデミーは、この動きを的確に捉えて新作コンテンツを鋭意開発中です。未知の領域を学び、新たな価値創造に向けてチャレンジするきっかけとなるセミナーとコンテンツの公開を、ぜひ楽しみにしていてください!
宇宙が未来を切り拓く!?SXによる価値創造
連載記事①~SXとは? ★現在の記事
連載記事②~宇宙開発とICTの歴史
※本記事は2024年11月20日現在の情報です。
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