2024.04.16
2024.04.10
画像生成AIと作る、表紙デザイン
- 文字で構成されています。
※この記事内容は
前回の記事では画像生成AIの特徴や著作権についてご紹介しました。
画像生成AIは実務で使えるのか~デザイナーがAIの実力を検証!
本記事では実際に画像生成AIを使って「雑誌の表紙デザイン」を進めていきます。
デザイン案が完成するまで、ChatGPTなどの様々なツールや機能を駆使しています。そのプロセスをぜひお楽しみください。
生成系AI「ChatGPT」によるアイデア出し
まずは雑誌のコンセプトに沿ってイメージを固めていきます。
表紙のメインモチーフを決めるにあたり、早速ChatGPTに相談を持ち掛けてみました。
結果は以下の通りです。
※画像はイメージです
かなり具体的な提案を得ることができました。
AIの意見を参考にしても、決定するのは人間です。
会話の中にあったシマウマの「広大なサバンナを駆ける力強さ」をヒントに、メインモチーフは馬にすることにしました。
画像生成AI「Adobe Firefly」でイラストを作る
次に、具体的にイラストを作ってみます。
使用するのはAdobe社の画像生成AIサービス「Adobe Firefly」です。
2023年10月10日に発表された「Adobe Firefly Image 2 Model」という次世代AIモデルを使ってイラスト生成を進めていきます。
アドビ、次世代のAdobe Fireflyモデルを発表
Adobe FireflyはAIの学習元データに同社で取り扱っているイラスト・写真素材やオープンライセンスのコンテンツを使用しており、著作権に関しても安心して使用できる点が特徴です。
また、ユーザーインターフェースが日本語に対応しているのも嬉しいポイント。
それでは、さっそく画像生成をはじめましょう!
後の文字入れ作業を加味し、極力背景はシンプルになるよう工夫します。
「真っ白い背景」と冒頭に入れ生成した結果です。
■プロンプト「真っ白い背景を駆ける馬」での生成例
写真のような画像が生成されてしまいましたが、抽象的なイメージにしたいので要素を足していきます。
デジタルをイメージさせるよう「ポリゴン」といった単語を組み込みます。
■プロンプト「真っ白い背景を駆けるポリゴンの馬」での生成例
かなりイメージに近づいてきました。
もう少し馬の顔立ちなどを曖昧にしていきたいので指示を追加します。
■プロンプト「真っ白い背景を駆ける抽象的なポリゴンの馬」での生成例
デザイナーのイメージに近い画像ができてきました。
この中から実際に使用するイラストを選定していきます。
何をもってイラストを選定するか
皆さんは画面の配置によって同じ登場人物でも相手に与える印象が変わることをご存じでしょうか。古典的な演劇にも見られる考え方ですが、左側は弱く、右側は強い印象を与えます。
横に進んでいくゲームなども敵を強く見せるため右から登場することが多いですね。
■画面の配置による印象
また、右から左に向かう視線や動きは「強い意志」や「未来」を、左から右に向かう動きは「不安」や「過去」を象徴します。
その他にも基準はありますが、今回は左に向かって駆けだしている馬の構図で、より躍動感のある下のイラストを採用することにしました。
「Adobe Photoshop」の生成AI機能で背景を作る
Adobe社が提供する画像処理ソフトウェアです。
豊富な機能と高度な編集ツールで写真やグラフィックデザインなどの作成が可能です。
生成したイラストですが、このままの状態では余白が少なく文字入れすることができません。
そこでAdobe Photoshopの生成AI機能を使い、背景を伸ばして行きます。
※生成AI機能の利用にはPhotoshop 2024(Ver.25.0)が必要です
-
切り抜きツールを選択する
ツールバーの切り抜きツールを選択し、画像の下に表示されているコンテキストタスクバーの「生成拡張」ボタンをクリックします。
-
生成したい範囲を決める
ハンドルをドラッグし、生成したい範囲を指定。
「生成」ボタンをクリックします。
-
背景の生成が完了
生成した背景にはバリエーションが用意されており、目的にあったものを選択できます。
文字入れ用の余白も確保できたので、いよいよ完成が近づいてきました。
最終的な仕上げは「自分自身」で
素材が整ったところで文字入れを行い、デザイン案が完成しました。
生成系AIだけで作業が完結できれば理想ですが、最終的な仕上げはやはりデザイナー自身で行う必要があります。
しかしながらアイデア出しから素材作りまで、かなりの時間短縮ができました。
今後は生成系AIをアシスタントデザイナーとして上手く組み込むことで、圧倒的な業務効率化が実現できます。
ここで重要なのはデザイナー自身が訴求する内容や目的をどの程度理解しているかです。
生成系AIは非常に便利な反面、出力内容には誤った情報も多く含まれる場合があります。
そこをどう軌道修正していくのかが、今後のAI活用の鍵となるでしょう。
※本記事は2024年04月10日現在の情報です。
おすすめ公開講座
関連ページ
研修会社インソースのAI(人工知能)研修一覧です。当社では、AI入門から現場活用、開発まで、職種や階層ごとにオススメプログラムを分類してご用意しています。基礎知識の習得、現場で活用するために必要な「コスト・成果・精度」の考え方、Microsoft AzureのMachine LearningやPython言語といったツールを使ったモデル構築のための演習まで、豊富なラインナップがございます。
似たテーマの記事
2024 AUTUMN
DXpedia® 冊子版 Vol.2
Vol.1の「ChatGPT時代」に引き続き、「サイバーセキュリティの今」をテーマにMS&ADインターリスク総研株式会社との対談など、近年注目が集まるセキュリティ問題についてご紹介しております。
Index
-
PICKUP
【巻頭対談】サイバー攻撃への備え 従業員教育が欠かせない
-
冊子限定
「復旧まで1カ月以上」が2割〜国内のランサムウェア被害調査
-
PICKUP
サイバーセキュリティ今昔物語
-
冊子限定
DXpediaⓇ人気記事
-
冊子限定
【コラム】白山から宇宙へ~アポロが生んだ技術の大変革
2024 SUMMER
DXpedia® 冊子版 Vol.1
「ChatGPT時代」をテーマにDXpedia®で人気の記事を冊子にまとめました。プロンプト例を交えた解説や、様々な場面での活用法をご紹介しています。生成系AIの特性を正しく理解し、ひとりの優秀な部下にしましょう。
Index
-
冊子限定
プロンプトでAIをあやつる~前提や体裁を正しく指示して完成度UP!
-
冊子限定
AIそれはデキる部下~インソースグループの生成系AI研修
-
冊子限定
AIと作る表紙デザイン~生成系AIを有能なアシスタントにしよう
-
冊子限定
【コラム】白山から宇宙へ~未来を切り拓くSX(
-
冊子限定
DXpediaⓇ人気記事
2023 AUTUMN
Vol.12 今日からはじめるDX
Vol.12は「中堅・成長企業でのDXの進め方」がテーマです。他社リソースを上手に活用するために身につけたい「要求定義と要件定義」を解説しました。 2人の「プロの目」によるDXの取組みへのヒントに加え、身近なアプリではじめるDXを活用事例とともに紹介します。DXお悩みQ&Aでは、中小・成長企業特有の事例を取り上げました。DXをはじめるなら「今」です。
Index
2023 SPRING
Vol.11 DX革命 第二章~着手から実践へ
vol.4の続刊であるVol.11は「DX革命の実践」がテーマです。 本誌の前半ではDXの課題を4段階に整理し、各段階の解決策である研修プランを掲載しています。 後半では弊社が研修を通じてDXを支援した、各企業様の事例と成果を紹介しています。自社のDX実践に際して、何がしかの気づきを得られる内容となっています。
Index
2020 WINTER
Vol.04 DX革命
Vol.04はDX推進のための効果的な手法がテーマです。DXは喫緊の経営課題である一方、IT人材不足や高いシステム導入コストにより実現が難しいと捉えられがちです。そこで本誌では、今いる人材で低コストに推進するDXについてご紹介しております。
Index
お問合せ
まずはお電話かメールにてお気軽にご相談ください
お電話でのお問合せ
03-5577-3203