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2025.01.28

2025.01.28

宇宙の扉を開く~第4話「衛星の打ち上げに臨んで」

※この記事内容は

文字で構成されています。
宇宙の扉を開く~第4話「衛星の打ち上げに臨んで」

宇宙開発には大きな夢があると同時に多くの困難が伴います。宇宙関係の業務に長く携わったベテランエンジニアが、みずから体験したさまざまなエピソードをお届けします。

大迫力、そして緊張の連続

皆さん、衛星の打ち上げを現地でご覧になった事はおありでしょうか?

大型のH型ロケット(現在はH3ロケットが最新)は種子島、小型のイプシロンロケットは鹿児島県の内之浦に射場があります。私はどちらにも何度も足を運びました。

H型ロケットは種子島から打ち上げますが、当方の衛星が搭載されていた時は、打ち上げ地点から数キロ離れたVIP用の観望台から見ることができます。カウントダウンが場内放送で流れると緊張が最高潮に達します。

打ち上げ30秒前...20秒前...エンジン点火...3・2・1、リフトオフ。すさまじい轟音とともにロケットがゆっくり上昇を始めます。実はこの時が最も不安定で、高速で飛翔を始めるとロケットは安定してきます。

そして固体補助ロケットが燃焼を終了し切り離されます。「固体補助ロケットブースター分離!」と放送されますと、固体補助ロケットメーカーの責任者に向かって「おめでとうございます」と声をかけます。そのメーカーの任務はここで完了です。

しばらくして衛星を保護しているフェアリング分離、主エンジンの燃焼停止、第1・2段ロケットの分離、第2段エンジン点火、第2段エンジン燃焼終了。そして「衛星分離」の放送があると打ち上げ成功です。一同はロケットメーカーの社長をはじめとする関係者に「おめでとうございます」と挨拶します。

そして打ち上げ成功の記者会見となり、この時点でこの会社の任務は終了です。

いっぽうで衛星メーカーの勝負はこれからです。「このあとはN社さんですね」と声を掛けられ、ここからN社関係者の緊張の時間が続く事になります。

まずは折り畳んで搭載している太陽電池の部分(パドル)が無事開くかどうかです。以前これが開かず衛星が宇宙のもくずとなった事があります。無事パドルの展開が終わるとまずは一安心です。

太陽電池が無事開き衛星の搭載機器に電力が供給されると、いよいよ搭載機器(ミッション機器といいます。)一つひとつ動作確認を行います。これは地上からの指示で手順書に従い念入りに実施しますので長い場合には1か月以上かかる場合があります。

そして機器点検が無事終了すると、ミッション機器から得られるデータ(例えば宇宙から地上を撮影した画像)の解析が始まり、所要の精度が得られているかを分析します。

ミッション機器の動作確認、性能確認が終わると、やっと運用に入ります。

打上げは可愛い子供が宇宙に旅立つ思いで毎回緊張の連続です。先端科学の粋を集めた衛星ですが、私は自宅を出る前に地元の氏神様に祈願に行きます。そして種子島ではロケット神社と衛星神社にお参り。打ち上げ前と打ち上げ後にお礼参りを含め3神社に行きますので、お賽銭千円×6回=6千円の出費です(私のポケットマネーです)。

種子島、内之浦のどちらも、展望台から打ち上げ見学が出来ます。ただ打ち上げが深夜あるいは早朝の時もあり宿が取れなくて難儀しますが、毎回マニアの方で一杯です。皆さんも是非一度見学に行かれてはいかがでしょうか。

前のお話:第3話「エンジニアのすばらしさ」

※本記事は2025年01月28日現在の情報です。

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