2025.02.27
2025.02.27
宇宙の扉を開く~第7話「月面から見た地球の出」
- 文字で構成されています。
※この記事内容は

宇宙開発には大きな夢があると同時に多くの困難が伴います。宇宙関係の業務に長く携わったベテランエンジニアが、みずから体験したさまざまなエピソードをお届けします。
感動!青く輝く地球
「かぐや」のミッション達成率は150%以上という素晴らしいものでした。膨大なデータが採取でき、世界中の科学者に提供されました。今回からいくつか面白い話題を皆さんにお伝えしようと思います。
まず最初は「地球の出」です。
2007年9月14日に打ち上げられた「かぐや」の最初のミッションは月面越しに地球がのぼるのをハイビジョン映像で撮る事でした。実はこのミッションは、かぐやの開発半ばにNHKから申し出があり、JAXAがこれを受けて計画に織り込まれたものでした。
月周回衛星「かぐや」のHDTVが観測した地球の出(2007年11月7日撮影)©JAXA/NHK=YouTube公式チャンネル「JAXA Channel」より引用
N社のCCDカメラ(CCDは電荷結合素子のことで、画像センサーの一つ)は価格でNHKと折り合わず、結局他社製のカメラを搭載しましたが、CCDは宇宙線という宇宙空間を飛んでいる放射線に弱く、寿命が短いため、優先的なミッションにするよう要請されました。
10月18日に月を回る軌道に投入された「かぐや」は、11月7日には実に見事なハイビジョン映像の取得に成功し、さっそくNHKの特集番組で放映されましたので、ご覧になった方も多いかと思います。
この時、月面越しにのぼってくるブルーの地球の中心に日本があったことに気づかれましたでしょうか? この条件を満たすためにエンジニアは綿密な軌道計算をして撮像日時を決定したものです。
この後、2008年4月には、満月ならぬ「満地球」が昇ってくる「満地球の出」の動画撮影に成功しました(前年の映像は完全な満地球ではなく一部が欠けていました)。
月周回衛星「かぐや」のHDTVが観測した満地球の出(2008年4月5日撮影)©JAXA/NHK=YouTube公式チャンネル「JAXA Channel」より引用
なお、「かぐや」からハイビジョンカメラにより満地球を撮影できるのは、月、地球、太陽と「かぐや」の軌道が一直線に並ぶタイミングで、年に2回しかないとのことです。
※本記事は2025年02月27日現在の情報です。
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